上手下手の問題じゃなくて、まず素組みでよく走り、そこから「自分らしく、愛機を仕上げることを楽しむこと」が大切だよ。そんな歓びを一人でも多くのユーザーに体感して欲しい。だからレースイベントを楽しむユーザーと共に歩むことが大事なんだ。2017年6月。GPカーコースの草分け的な名コース「サガミ堂RCレーシングトラック」で京商開発スタッフの中でも屈指のエンジンカー、それもゴム(ラバータイヤ)車に拘る“宮崎 和弘”にインタビュー、彼の開発への想いに触れた気がした。
INTERVIEW FOR 《V-ONE R4sⅡ 》
確か、僕がピュアテンのマシン開発に携わることになったのは2003年の頃だったかな。少し前までレースを戦うハイエンドモデルには、やっぱりスポンジタイヤという認識でしたね。ただ、スポンジタイヤはレース志向が強すぎて、新規のユーザーは入り憎い。扱いやすいゴムタイヤなら、GPカーのユーザーは確実に増える、と常に考えてました。
その時、世の中はスポンジタイヤが全盛で、ゴムタイヤはある意味、蚊帳の外。どうやったら受け入れられるか、試行錯誤の連続でした。当時、持ち回りで京商厚木の直営ショップに立つ機会があり、これはチャンスと、空き時間にゴムタイヤを装着したマシンを走らせて、その楽しさをアピールしたこともありました(笑)。今でこそゴムタイヤが浸透していますが、地道な活動が実ったのかなぁ…と、当時を振り返ると感じています。
これまでのGPカーを牽引する“V-ONE”の流れには“S”と“R”の頭文字が付くふたつのタイプがあります。基本的には、“S”はリコイルエンジンが搭載された、いわばビギナー向けで、一方の“R”は高性能パーツで武装したレーシングマシンの位置づけ。また“R”を冠したモデルはハイエンドなため、どうしても敷居が高く難しすぎる。過去に“スーパー10”というゴムタイヤのモデルがありましたが、これをピュアテンのサイズで製品化できたらもっと面白くなる、と。
2003年〜2005年、当時は“V-ONE SII”、“FW-05”、“V-ONE SIII”と、ゴムタイヤを装着した製品化につながりましたが、やっぱり“R”を冠したレーシングマシンを作りたい…。そこで、2013年に誕生したモデルが“R4s”でした。ただ“R4s”は、スポンジタイヤがベースのマシンを仕様変更しただけ…本当の意味で純粋なゴムタイヤモデルではなかったんですね。
そして、レースマシンなんだけど、もっと敷居を下げつつ、扱いやすいマシンを…今まで感じていた不満を払拭しつつ、やりたいことを詰め込んだ、というのが新作の“R4sII”なんです。破損しやすい部位の改良に加えて、フレーム形状の見直しやダンパーのショート化など、とにかくゴムタイヤにこだわった設計を施しました。
数多くのGPカーを設計してきましたが、ここまで愛情を注いだのは“R4sII”が初めてじゃないかな(笑)。説明書に従って組み立てていただければ、しっかりと走ります。初めて手にするユーザーに優しいだけでなく、ベテランも満足するポテンシャルを秘めた“R4sII”を、是非、ご賞味ください。
「“GT2(写真左)”はインファーノ“7.5”“777”という、10年程前に開発されたシャシーを流用したため、ベースが古かったんですね。またレディセットという戦略がキーワードとなり、思い切った勝負ができなかったけれども、今回、後継モデルとして製品化したインファーノ“GT3”は、組み立てキットとしてプロジェクトが進んだので、ポテンシャルはバッチリです。最新のインファーノ“MP9”をベースにした専用設計で、とにかくやりたかったことを詰め込みました。1/8スケールのGPツーリングでは、ショートホイールベースがポピュラーになりつつありますが、やっぱり寸詰まりのフォルムは格好悪い! GT3は、あえてロングホイールベースで勝負しつつ、スタイリングの美しさにもこだわりました。フロント寄りに重心を置いた設計なので、とにかく安定感の高さには自信あります。軽量化を施したデフギアに加えて、ショートダンパー&スプリング、ジュラルミンを切削加工したダンパーステーといったパーツは、正直やりすぎてしまいましたが、ほぼ新設計という豪華さ。幅広いセッティングに対応した、各部の作り込みを見てください。さらに既存の“MP9”のオプションパーツが流用できる点も見どころです。ニューカマーながらオプションパーツが、豊富にそろっているのは嬉しいですよね。
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