Episode2(インタビュー):アピオ 高橋 恵太 × 京商 広谷 一将〜モデル化にかけた関係者たちの想い〜

『スズキ ジムニー シエラ APIO JIMNY TS4』がどのようにして作られたのか、同モデルのボディ設計を担当した京商R&Dグループ開発の広谷 一将と、このモデルにおいてキーマンとなったアピオ・クリエイティブサービス フロントマネージャーの高橋 恵太さんに語ってもらった。

アピオ株式会社 クリエイティブサービス フロントマネージャー 高橋恵太

 ここで高橋さんがいかなる人物なのか、紹介しておくことにしよう。現在はアピオで顧客対応などを担当する高橋さんだが、実はかつて京商に在籍していて、ミニッツシリーズのボディ開発を手がけていた。そう、現在ミニッツのボディを担当する広谷の先輩にあたる人物なのだ。アピオには2017年4月に入社し、かつて京商のスタッフだった縁もあり、河野社長と京商の橋渡し役を務めてくれた。

高橋さん:私が京商社内で部署を移動することになり、広谷君に跡を引き継いでもらうかたちになりました。私がミニッツ、広谷君が別のスケールなど、同時期に異なるボディを担当していたこともありましたが、広谷君がミニッツを手がけるようになったのは私の後任になってからです。そして今回のミニッツ4×4 アピオ ジムニーTS4では、アピオ側の人間として彼がボディを作るお手伝いをさせてもらいました。


京商株式会社R&Dグループ開発 広谷 一将


広谷:はい、(高橋)恵太さんには大変お世話になりました(笑)。アピオTS4に先がけて、まずはノーマルのジムニー シエラを作ったのですが、その取材でアピオさんには何度も通いました。模型を造形するうえで、実車を見るのがいかに有効かは皆さんにも分かってもらえると思いますが、それがアピオさんに来れば実現します。『ここの形状はこうなっているんだ』など、写真だけではつかみにくいカタチも実車を見れば一発で理解できます。こうした取材に快く付き合ってくれたアピオさんと恵太さんには感謝しかありません。

 そして今度はミニッツ4×4のアピオTS4を作るわけですが、ここでも恵太さんが大活躍してくれました。本当に助かったのは、アピオ製パーツの図面を提供してくれたことですね。もちろん、実車用パーツの図面がそのまま模型化できるわけではなく、必要なアレンジはあるのですが、図面ってもう“正解”そのものじゃないですか。実車や写真を見ながら自分で図面を描くことに比べて正確さがまったく違います。これがどれほど助けになったか分かりません。

 実車をスケールダウンしてRCカーのボディにする。一見それほど難しい作業には思えないかもしれないが、ミニッツシリーズのように、まずはシャシーのサイズが決まっていて、それに合わせてボディの形状をアレンジし、さらには金型を使って成型することまで考慮に入れると、作業の工程は多く難易度も高い。こうした作業の経験もある高橋さんなら、アピオと京商(広谷)のやりとりもスムーズにサポートできたのではないだろうか?

高橋さん:もちろん、私にミニッツ用ボディ設計の経験があることは役に立ちました。でも、実車パーツメーカー側の立場になると、模型メーカーでの経験があることで逆に難しくなる場合もあるんです。例をあげると、ウチの河野が京商さんにパーツに関するリクエストを出したことがありました。河野はよりよい製品にするためにリクエストしているんですが、私はそれを模型にして、最終的に製品化するところまで想像できちゃうので、『社長、それはちょっと難しいんじゃないですか?』と、つい言ってしまいそうになるんですよね(笑)。広谷君の苦労まで考えちゃう。でも、今は立場が違うので、リクエストにどう応えてくれるのかは京商さん側の仕事になります。ですからここはグッとこらえて(笑)。あれ、これはオフレコかな?

広谷:河野社長と恵太さん、そして私の3名でミーティングしているときに、社長のひと言で恵太さんの目が泳いだことが何度かありましたね(笑)。『ああ、いろいろ考えてくれてるんだな』と。

もちろん、メーカーさんからの要望にできるだけお応えするのは私の仕事でもありますので、要望を最高のかたちで実現するよう最大の努力をしました。幸いなことに、河野社長はミニッツ4×4 アピオ ジムニーTS4の出来ばえを評価していただいているようなのでホッとしました。メーカーのお墨付きなら、ミニッツのお客様にも満足していただけると思います。

高橋さん:はい、本当によくできていると思います。100点満点の仕上がりですね。ミニッツって造形に優れているのはある意味当たり前なんですよ。でも今回のミニッツ4×4 アピオ ジムニーTS4は、そこからさらに一歩も二歩も踏み込んで、非常に細かい部分までしっかり再現されています。そしてタイヤには実車と同じBFグッドリッチのロゴも刻印されています。これはタイヤメーカーがミニッツ4×4の価値を認めたということでもあるんです。そういう意味においても、今回のミニッツ4×4 アピオ ジムニーTS4は、私がミニッツのボディ設計を担当してたときには不可能だった本当のスケールモデルになっていると思います。


私がミニッツのボディを担当していた時はホイールベース・タイヤの直径、全幅等がシャシーありきで決まっていたのでそれに合わせて車種ごとに実車のフォルムをディフォルメしていました。その為にスケールモデルとして妥協せざるを得ない部分があったのですが、今回のアピオジムニーTS4はジムニー専用タイヤや専用のホイールベースを設定したことにより本物のスケールモデルとして成立していることに感動しました

 アピオ製のジムニー用スペシャルパーツは、ドレスアップパーツであると同時にチューンナップパーツでもある。これを再現したミニッツ4×4 アピオ ジムニーTS4でも、走行性能における恩恵があった。

広谷:ノーマルとTS4を比べて見ると分かりやすいのですが、アピオさんの前後バンパーはノーマルより下が短いんですよね。これは急勾配を上り下りする際に、路面とバンパー下部が接触しないようにするための工夫だと思います。これはミニッツ4×4でも効果的で、走行安定性がアップします。さすがアピオさんのパーツです。

 ジムニー、そしてミニッツに愛情を持ち、熟知する人物たちが協力して作り上げたミニッツ4×4スズキ ジムニー シエラ APIO JIMNY TS4。メーカーの全面協力の下に完成したこのモデルの出来ばえは、ぜひその手に取って確認していただきたい。ジムニー専門メーカーのノウハウや、ジムニーにかける想いが感じられるはずだ。

アピオ株式会社 〒252-1124 神奈川県綾瀬市吉岡651番地
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