2018年度大会で16回目を迎えたミニッツカップ ファイナルチャンピオンシップ。この大会は全国の地区大会を勝ち抜いた者だけが参加を許される日本一の決定戦であり、ミニッツでレースを楽しむユーザーの誰もが目標とする“目指すべき場所”にもなっている。それだけに、参加することそのものが栄誉ともいえるが、そんな年に一度の大一番に16回連続で参加を果たしているふたりのユーザーが存在することをご存じだろうか? ここでは、そのうちのひとりである軽部俊和さんのミニッツライフをクローズアップする。
インタビュー:軽部俊和さん
2001〜2008 株式会社本田技術研究所 HONDA 第3期 F1電装システム開発
2009〜2018 株式会社本田技術研究所 量産車車体電装部品開発現職 ホンダエンジニアリング株式会社 量産車車体生産技術開発
普段はホンダエンジニアリングの開発スタッフとして働く軽部さん。
ホンダF1第3期の2002年、佐藤琢磨選手が史上7人目の日本人フルタイムF1ドライバーとしてデビューを果たしたことはまだ記憶に新しいが、その当時、軽部さんはF1のエンジニアとして最前線で活躍。
佐藤琢磨選手が駆ったジョーダン・EJ12に軽部さんが開発したパーツが投入されたという逸話をもつ。
そして、第1回のミニッツカップ ファイナルチャンピオンシップでもF1クラスにEJ12で参戦、公私ともに思い出深いクルマとして当時の参戦車両を現在も大切に保管している。
そう聞くと、どうしても気になるのが、F1とR/Cカーとのリンク。この両者の間に共通する何かスゴい話があるかもしれないと……。しかし、軽部さんの回答は非常に明朗なものだった。
「タイヤが4本付いていて走るという意味では同じですし、考え方も基本的に同じ。オーバーステア、アンダーステア、ロール、ピッチング、ヨーとか車体の動きは物理法則にしたがっているので、実車とR/Cカーは大きさが違うだけです。
だからといって、私は仕事のノウハウや知識をミニッツに活かしたいという気持ちはなくて、幼い頃からやっているR/Cカーを純粋に楽しみたいという想いのほうが強いんです。そんなこともあって、ミニッツのメカニズムも“クルマのプロ”という目線ではなく、“R/Cカーマニア”としての目線で見ちゃうんです。昔やっていたプラズマファントムからの一連の流れでミニッツを見て、”コレ、よくできてるじゃん”みたいなね(笑)。
たまたまクルマ好きだったので、現在は自動車のエンジニアを生業としていますが、それぞれをリンクさせることはありません。月曜から金曜は実車の開発・設計を行い、土曜と日曜は仕事を忘れてミニッツを楽しみたいんですよね。模範回答じゃなくてスミマセン(笑)」
軽部さんが初めてミニッツカップに参加したのは、2003年に開催されたアムラックス トヨタ大会。その時に一番驚いたのがレース会場とレースに集まったミニッツユーザーだったというが、軽部さんにとっての驚きとは何だったのか?
「私がミニッツカップに参加したいと思ったモチベーションはレース会場にありました。アムラックス トヨタ大会の会場は池袋のど真ん中ですからね。
こんなにいい場所でR/Cカーレースができるのなら、絶対に行きたい! と思ったのが一番のきっかけでした。その後もお台場のMEGA WEBだったり、船橋のららぽーとだったり、みなとみらいのクイーンズスクエア横浜だったり、もちろん、今年のファイナルチャンピオンシップ会場でもある日産グローバル本社ギャラリーだったり、“こんなところでレースできるなんて幸せ!”と思える会場ばかりで本当に楽しいんですよね。
あと、初めてのミニッツカップで印象として強烈に残っているのは、参加している人たちが初めて会う人ばかりで誰も知らなかったことでした。
私はミニッツを始める前から電動カー、エンジンカーともにかなりやり込んでいて、わりと知り合いが多かったのですが、ミニッツカップは本当に別世界だったんです。
そう思ったのと同時に、“R/Cカーを楽しんでいる人たちは、私の知らないところでこんなにもいたのか”という新たな発見があったこともたしかです」
ミニッツカップに出場し続けて約16年。「会社で普通に仕事をして、土・日も地元で引きこもっていたら、こんなことは絶対にあり得なかった」と軽部さんが語るように、気がつけば日本全国に多くの知り合いができた。
「日本全国に知り合いができたのは、かんばってミニッツカップに参加し続けたからこそのご褒美みたいなものですね。
今後は、海外にも知り合いが増えたらいいなぁと思っています。僕にとってミニッツカップは、日本全国の旅といったところでしょうか(笑)。
正直な話をすれば、ミニッツカップで遠征するまでは北海道や熊本には一度も行ったことなかったのですが、ミニッツカップに出るために初めて行ったくらいですから。
どれもこれもいい思い出ですね。だからというわけではありませんが、今後はミニッツカップがまだ開催されていない地区や場所での開催をリクエストしたいですね。
ぜいたくを言わせてもらうならオシャレで、みんなの注目を浴びるような会場で! だって、旅行に行けてうれしいじゃないですか(笑)。新幹線で話題の北陸はどうでしょうか? 朗報を期待しています」
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