2017年10月23日のkyosho styleで紹介した『ミニッツホワイトボディ アーティスト“青山雄一の世界” ~わたしは、わたし。でも、わたしはみんなのなかのわたし~』。そのコラムの主役である北海道旭川市在住の青山さんは、産まれながらに自閉症スペクトラムという障がいはあるものの『ゆい・ゆい本舗』という障がい者福祉サービスの事業所に通いながら、美術支援の一環として絵を描くアーティストとして活動。
青山さんがミニッツのホワイトボディに描く、心の中のあるがままを表現する手描きアートは各方面から注目を集めている。そんな青山さんは、2017年度のミニッツカップ ファイナルチャンピオンシップにも来場してブースを出展。参加者はもとより、多くの一般来場者も青山さんの作品には大きな関心を寄せていたが、あれから1年--。2018年度のミニッツカップ ファイナルチャンピオンシップに再び青山さんが来場すると聞き、ゆい・ゆい本舗のブースを訪ねると……そこには、青山さんが描く絵とはあきらかに作風が異なる色鮮やかなミニッツボディが展示されていた。
ミニッツホワイトボディ アーティスト 巻田 侑也さん
オーストラリアの先住民族であるアボリジニが描くドット・ペインティングのような作風でありながら、どこかやさしさを感じるその絵を描いたのは、青山さんと同じく、ゆい・ゆい本舗に通う巻田侑也さん。
絵を描くことそのものは数年前からスタートしていた巻田さんだが、特別支援教育に携わるスタッフが中心になってミニッツを通して障がいがある方をサポートする北海道旭川市のR/Cサークル『RC222(アールシーミニッツ)』とのつながりのなかで、RC222のスタッフから「巻田さんの絵を自分のボディに描いてほしい」という依頼をきっかけにミニッツのボディに絵を描き始めたのは2018年の夏。
「描くことは楽しいし、自分でもっと絵の才能を磨いて描き続けていきたいです。いろいろな人に見てもらいたいですね」と語る巻田さん。今回のミニッツカップ ファイナルチャンピオンシップ2018では自らの作品をブースに展示するだけでなく、ミニッツドライビングスクールやスロットカーなどの模型ホビーを実際に体験するなど、イベントそのものを大いに楽しんでいる様子が非常に印象的だった。
「今回のブース出展は、巻田さんにとってすごく緊張する出来事だったと思いますが、来場者から見られているということが、巻田さんの成長に大きくつながっていくのではないかと期待しているんです。
巻田さんの内面にあるやさしさやあたたかさが絵を通じて表に出て、それが巻田さんの心にもつながって内面にあるものが外に出てくることが成長につながると思うんです。巻田さんが表に出ることで作品が世の中に出て、そこでまた人とのつながりが出てくるのではないかと。
今回のような面識のない人とのコミュニケーションのなかで巻田さんが心地よい時間を過ごすことによって、すごくいい表情が出てきたように思います」
特定非営利活動法人 ゆい・ゆい本舗 代表 野々村 雅人さん
そう語るのは、青山さんや巻田さんが通うゆい・ゆい本舗の代表を務める野々村雅人さん。ふたりの活動を見守るとともに、全力でバックアップする心強いサポーターでもある。
「巻田さんはゆい・ゆい本舗に通って約10年。内面はすごく穏やかでやさしいんですけど、それをうまく表現できないところがあるんです。仕事をする能力もあると思っていますが、“どこまでできるのかな?”っていう部分も正直ありますね。
そんな彼が、あるタイミングから絵を描き始めたんです。それを見てみると……アボリジニ的なドット絵だったんですよね。最初は黒い用紙に描いていたんですけど、何か心に感じるものがありまして。さっそく、旭川市内の商店街や市場に飾ってみると、“これ、おもしろいね”といった大きな反響がありました。
私自身、青山さんの次の人を育てたいという気持ちは正直あります。なぜなら、その後に続く子どもたちのために、という想いからです。だから、青山さんや巻田さんはしっかりと名を残すべきだと。
ふたりが絵を描くことに対して、私が気をつけていることは変なクセをつけないということです。例えば、彼らが描いた絵に対して、“ここは、こうしたほうがいい”と強制しないとか。
障がい者アートの世界では、そういった指導をしてしまうことも決して少なくないような気がします。でも、それは本人たちの想いではないんですよね。だから、私は枠をつくらないようにしようと。ふたりには、自然体で自分を表現してほしいんです。
絵を描くことによって、青山さんは本人なりのペースを大事にしながらも以前よりもやり取りが今まで以上にスムーズになってきていることと、生活面がすごく安定してきています。みんなと一緒にゲームを楽しんだり、日々穏やかに過ごしています。
他にも、いろいろな作品があふれ出している感じがしますし、絵を描くスピードも確実に速くなりました。自分の居場所を見つけたことが大きいと思いますが、一歩一歩着実に成長しています。
ミニッツホワイトボディアーティスト 青山 雄一さん
巻田さんも事業所と家との往復だけという生活のなかに、“絵を描く”という作業が加わったことによって、あきらかに表情が変わりましたね。“キリッ”としている部分が見え始めて、すごくいい表情になりました。周りの人に認められることが重要なんですよね。
青山さんにしろ巻田さんにしろ、障がいのある方の将来を考えた時、私たち支援者も親も“この子にはできない”、”ここまでしかできない”とあきらめるのではなく、“常に応援しています”というメッセージを投げかけることが大事なんです。実際にやってみると、意外とできることが多くて、本当にもったいないからです。
正解かどうかはわからないけど、可能性を試しながら凸凹したところを障がいのある方と一緒に歩んでいく、もしくは、段階を経ながら山を登っていくみたいなイメージです。
“スケッチブックを閉ざしたら何もないけど、開いたら何かあるかもしれない”という可能性を、支援者はあきらめずにやっていかなければならないんです。あきらめずにやり続けていると、おもしろいことがひょっこりやってきたりしますから(笑)。
養護学校で文字を習って書けていた人が、大人になって文字が書けなくなってしまうケースも実際にはあります。大人になって反復していないので、文字が書けなくなるのは致し方ない部分もありますが、だったら、それに代わる何かを提供したい! と思う部分が多々あるんですよね。
だから、私自身がそういう意味合いでいろいろなことに取り組むことで周りにいる人たちも変わってくるのかなと。若い職員たちにもチャレンジする気持ちを伝えたいですからね。そのためなら、私はかぶりものでも何でもやりますよ(笑)」
KYOSHO OFFICIAL PVにもご登場頂きました。
京商株式会社は、つたないながら様々なコラボレーションから多くを学び、京商の製品を通じて楽しんでいただく皆様方とご一緒に、私たち自身も笑顔になれるよう取り組んでいます。こうしたつながかりを心より御礼申し上げます。
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