インタビュー: INFERNO MP10 TKI2 デザイナー 金井祐一氏

京商のフラッグシップモデルとして長きにわたり世界中のエンジンレーシングバギーユーザーから親しまれ続けている『インファーノ』。インファーノMP9からフルモデルチェンジを果たしたMP10、そしてTEAM KYOSHO INTERNATIONAL VERSION2(TKI2)へと進化を果たした。そんなTKI2に込めた想いなどを大いに語っていただいた。

2019年1月にインファーノMP9からフルモデルチェンジを果たしたMP10、そして今回MP10 TKI2へと進化しますが、構想や設計はいつ頃からスタートしたのですか?


 MP9がMP10にフルモデルチェンジするのに10年という期間がありました。その間に様々なバージョンアップを実施してきましたが、MP9にも限界が見えてきました。同時に、ああしたい!こうしてみたい!という次世代への想いが芽生え、MP10のプロジェクトが始まりました。

 そして、MP10が発売されてからも改善への取り組みは続き、次はもっとこうしたい!と考えていましたね。何度もテスト走行を重ねて試行錯誤した結果、このコンポーネント(構成要素)でMP10 TKI2は進めようという結論になりました。MP10が出た時点から、気がついた事はどんどん試し、気がついたら自然にカタチが出来あがったのがインファーノMP10 TKI2です。


インファーノMP10 TKI2の拘った点は?

 MP9からMP10で大幅に変わったのはボディによる空力でした。よりグリップしやすくギャップに強くっていうのが拘りです。ただ、最近のコースはグリップが非常に高いカーペット路面も多く、それに適したボディも作りたかったんです。MP10のボディも凄く良いんですけど、グリップが高いコースだと空力がかえって邪魔になる。それに対応する為に、今回は空気がスムーズに流れるような形状に拘りました。グリップが高いカーペット路面などでも、クルマの動きを押さえつけすぎず、適度なグリップを得られるボディが完成しました。


 このボディが出来上がるまでに、いくつものボディ形状を試作し、運転席やサイドの羽根などに薄いポリカやプラ版みたいので作ったのをテープで留める。そこから上下左右に動かしてはテープで留めて何度も調整を繰り返す。こうして、試せることは全て試しました。そして効果の良い形状を木型で作り、また何度もトライする。そしてようやく納得できるレベルに仕上がったのがインファーノMP10 TKI2です。あと、フロントやサイドポンツーンの先端とかにダクトを追加したのは、ここに空気が当たり抵抗を増やしてやろうと思いました。僕的には走行性能はもちろん、見た目も重要な要素だから、もっと格好良くしたいと思い色々と改良しました。TKI2はMP10と比べて結構違うところがあり面白いと思います。とにかく、デザインに拘った高グリップ路面対応ボディです。


 じゃあ以前のMP10のボディはどう?って言ったら、MP10のボディも引き続き必要なシーンがあるはずです。常にMP10とTKI2のボディの両方を持っていれば、どんなコースでも対応できると思います。


常に進化し続けるインファーノシリーズ、今も昔も変わらないポリシーや想いはありますか?


 MADE IN JAPAN。ここは拘りたいです!もう他のメーカーは中国や台湾などで作っていて、MADE IN JAPANは無いですから。日本の職人さんの技術は今も尚、世界一だと思っています。そうした職人さんと図面を見ながら納得するまで会話し、どれだけ拘って良いモノを作りたいかを共有するスタイルです。


 それと、出来る限り僕の手だけで作り上げていきたい。もし他のデザイナーが関わり、何か起きた時に責任のなすり合いじゃないけど、ここは自分がやったんじゃない!ここは自分だけど、そこは知らない!ってなる可能性もあります。だから、シャシーもボディも最後まで開発者としての責任をもち、このクルマを大切に育てていきたいです。その想いが一番ですかね。あとは試作したら自分が納得するまでテストする。このポリシーは今後も変わりません。


 この1/8 GPバギーのカテゴリーは世界中でも本当に息が長く、これからも変わらないと思います。それでも今まで以上に、もっともっと良いモノを作ろうっていう挑戦は続きます。

 いつも思うのは、自分が作るのは他のメーカーに負けるワケない!京商のプロダクトは世界一だ!と、いつも思っているのは事実です(笑)

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